松本大洋 ピンポンの面白さ、感想【漫画、アニメ】

去年のオリンピックで卓球の魅力が定着してきた今日この頃。たまにこの漫画を読みたくなる。

 

ピンポンとは松本大洋氏原作の全5巻の漫画。ビックコミックスピリッツで1996〜1997年まで掲載。
内容はピンポン(卓球)を通して男の思春期の友情を描いたものです。
2002年に映画化、2014年春にアニメ化。

今回はピンポン原作の魅力、感想と漫画アニメ映画のどれを観るべきかについて書いてこうと思います!

 

ピンポン(原作)の魅力

 

・リアルで動的かつ個性的な画力

 

表紙を見ればわかる通り、個性的でリアルな作画が特徴です。人を選ぶ作風ですが読み進めるとその良さが判明します。卓球をしている描写は本当にキャラクターが「動いている」!「生きている」!
同じキャラクターでも同じ顔をしているコマが一つもないといっていいくらいです。我々三次元の人間も走っている瞬間をカメラで撮られると顔の肉が衝撃で揺れるので老けたように映ったりしますよね?激しく動いている時の顔と証明写真の顔が全く同じことって殆どないんですよね。
そのようなことを漫画で表現できるのはデッサン力がかなり高くないと不可能。
そしてそれを作者が実現しているのでピンポンはいい意味で異質でリアルな漫画だと思います。
キャラの通常時の顔もかなり特徴的でインパクトがあり一回見るともう忘れない。
坊主頭でツリ目で見るからに視力が悪そうなアクマ、おっさんみたいな老けた面をしているドラゴン、童話にでてきそうなほっぺが赤いペコ等。
版画のような不気味さがあるキャラデザと感じるかもしれない。
でもそこが物語に深みを与え、私に衝撃を与えてくれた。
また曲線美が特徴の背景も見所。
通常はキャラクターがリアルなら背景もリアル(直線的)である方が漫画的なのではと考えていたが、この漫画を見ると考えが変わった。曲線で建物を書くことでファンタジーのリアル感が増したのだ。つまりキャラが、ストーリーが、曲線の背景に完全に溶け込んでおり、
良い相乗効果をもたらしいている。
作者はインターハイの会場を内も外も取材しカメラに収めている。なるほど卓球会場だけでなく試合後の会場の外の雰囲気も妙にリアルなわけです。

 

あくまで想像上の物語であり漫画と読者に再認識させながらその世界観は圧倒的リアルに完成されて違和感がないのでピンポンにハマってしまう。

 


・登場人物たちの背景、心情の奥深さ

 

先ほどピンポンはキャラが生きているみたいだと述べましたがそれは作画だけに留まりません。
登場人物達がそれぞれの育った環境、遺伝子が心情に反映されておりそれぞれに得意なこと苦手なことがある。

 

スマイルは母子家庭育ちのため親と十分にコミュニケーションがとれず、幼少期に虐められ、高校でも部員と仲良くできない。
ルービックキューブや鼻歌を歌ったりして自分の世界に没頭する。
『人生は死ぬ迄の暇潰し』がモットー
スマイルにとって卓球は自分の世界に没頭するための手段と感じた。

 

ドラゴンは親や周りの自分の才能以上の期待に押し潰されそうになりながらインターハイを優勝し、卓球に命をかけ人一倍練習に励む。試合前はトイレに籠って自己防衛。

 

チャイナは中国のナショナルチームジュニアから戦力外通告され、不本意な日本留学。日本の卓球レベルを見下している。

 

ペコは「この星の一等賞になりたい」とスマイルに豪語。しかし視察に行った先での野良試合でチャイナにはぼろ負け、更にインターハイでアクマに惨敗。
その後ペコは自分に才能がないと思い、部活に来ず、自堕落な生活を送る。

 

アクマは努力の秀才。卓球の名門高校に入り血の滲む努力をしてペコに勝つ。しかし野良試合でスマイルに負け、『アクマには才能がない』と言われる。

 

スマイルとドラゴンはコミュニケーションが苦手で自分の殻に閉じこもる性格が似てますね。

 

作者は中学高校とサッカー部に所属していたらしく、多感な時期にスポーツに打ち込んでいたからこそ、スポーツをやる少年の心情を控えの部員からプロを目指す人まで表現できたと感じました。


ピンポンは悩みに焦点を当てていて、卓球を通して登場人物達が真剣に己の才能に苦悩しそれぞれの形で克服していく。
思春期の少年達がそれぞれの道を全力で駆け上がる様子が見れます。

 

・誰しもが自分の人生しか歩めない


スポーツの中で特に卓球は才能がものをいいます。生まれつきの反射神経や動体視力は変わりようがありません。
最終話では登場人物達がそれぞれの欠点を克服し物語は幕を閉じます。
ペコは物凄い才能に加えめげずに血を滲む努力をしてプロ選手に。ドイツリーグで名を馳せている。
スマイルはプロにもなれたが卓球を真剣にやることで人との繋がりの大切さを学ぶ。そのためか教師になる。
ドラゴンはプロ選手になるが、成績が下がり世界選手権代表を外されてしまう。彼は「卓球だけの人生なんて御免だ」と言っていた。世界の広さを知る。
アクマは才能に恵まれずプロにはなれなかったが努力した結果だし悔いはないと語る。結婚し子供ができた。自営業で稼ぐ気満々らしい。

 

皆んなそれぞれの居場所を見つけ、そこで頑張っている。挫折しながらそれでも前へ。自分の個性に見合った居場所を見つけるのがより良い人生を送るのに大切だと気付かされました。

 

・ヒーローの凄さ


プロになれる人間は一握りでその中で活躍できるのは更に一握り。そういう人間は才能、努力だけではなくヒーロー的な魅力がある。自己満足するだけでなく周りの人を動かし、その人の人生を大きく変えてしまう。世界に大きな影響を与えられる人間がきっとヒーローでこの星の一等賞になれるのだろう。

 

・カッコよくユーモア


この漫画は一々カッコよくユーモアに溢れてる。擬音、セリフ、話のタイトルどれをとっても素晴らしい。スマイルの「おかえり、ヒーロー」は鳥肌もの。

 


・漫画アニメ映画のどれを観るべきか

 

アニメピンポンの特徴


アニメは原作の作風を忠実に再現していて、試合シーンは動的な作画をアニメにしているので凄まじい動きになっており見応えがあります。
漫画でかっちょいいシーンは全部入ってます。
更にアニメの音楽はリズムテンポが良く特に卓球台がボールを弾く音は音フェチには堪らねえ!癖になります。
アニメでは作者が原作で書ききれなかったエピソードも映像化されています。また百合枝、風間理事長、孔の母親など、オリジナルキャラクターも登場。

 

 

映画ピンポンの特徴


映画の良さは受け入れの広さです。
前述した通りかなりクセのある作風ですが実写化することで壁がなくなりより多くの人が楽しめる作品になっていると思います。卓球場の暗く昭和な雰囲気も良い演出。脚本も上手くダイジェストされていて映画だけ見ても満足できる内容です。

 

 

アニメか映画か


時間的には映画は約2時間でアニメは約20分×11話=220分=3時間40分なので情報量の濃さはアニメの方が当然上。作風に抵抗感がなければアニメがオススメ。話を追うごとに出来上がるopも情緒溢れるedもサイコーっす。

 

 

 

まとめ
原作の作風が得意ではない人は映画ピンポンがオススメ
音楽も楽しみたい人はアニメピンポンがオススメ
自分のペースでじっくり楽しみたい人は漫画がオススメ